生駒 忍

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意見を言わない人のこころを理解できますか

きょう、西日本新聞のウェブサイトに、【道徳教育を考える】臨床心理学者 中川美保子さん 意見言えぬ子 理解して 不安・葛藤に寄り添ってという記事が出ました。けさの西日本新聞朝刊に載ったものの転載です。

内容は、「スクールカウンセラー経験のある臨床心理学者で」という、特にめずらしくはありませんがわざわざ書くことはめずらしい属性表現をともなう方の、自験例と自説です。語りの出だしが「小学校でスクールカウンセラーをやっていたときのこと。」なのですから、先に「スクールカウンセラー経験のある」と書いておく必要性も薄そうですが、むしろそのくらいに、常に前に出したい経歴なのかもしれません。

もちろん、自分の意見を言わないことの問題、あるいはあつかいにくさは、子どもだけの問題ではないでしょう。高学歴男はなぜモテないのか(犬山紙子著、扶桑社)は、Amazon.co.jpでの評価が両極にわかれている、謙虚でない男性を笑いものにする本ですが、その中に、映画を見たあとでふつうに感想をいわずに、ネットで他者の評価をひろってからあわせようとする男性がいました。それでも、この行為は、不都合な相手と話す技術 フィンランド式「対話力」入門(北川達夫著、東洋経済新報社)でいう「知識や経験がないために理解できない価値を畏れる」ことのあらわれと考えることもできますので、むしろ謙虚であるようにも見えます。また、意見を言うようにみちびくのも、西日本新聞の記事で直接的な方法には言及していないことからわかるように、むずかしいことです。あたりまえだけどなかなかできない教え方のルール(田中省三著、明日香出版社)には、「質問をしない人」への教え方もありますが、どのくらい効果があるかはわかりません。できる大人のモノの言い方大全 LEVEL2(話題の達人倶楽部編、青春出版社)は、「何の意見もないのかね」は人望をなくすことばだといいます。