週刊ポスト2013年4月19日号では、表紙のまん中に「大人だけが知らない新しい日本史の常識」とあって、中づり広告では「常識」がかぎかっこでくくられていたと思いますが、最近の歴史教科書の動向に注目した特集記事が載りました。内容としては、こんなに変わった歴史教科書(山本博文ほか著、新潮社)やなぜ偉人たちは教科書から消えたのか(河井敦著、光文社)などでだいたい取りあげられているものですが、特に聖徳太子についての話題が大きくあつかわれていました。ある年代より上の人にとっては、まさにお札の「顔」としてなじみの深い偉人です。「ゴクミも知ってる聖徳太子」、これが通じる世代だと考えてください。
それでも、日本銀行券の歴史の中では、聖徳太子は別格の存在です。アメリカ占領下でも紙幣から追われずに残り、1984年にD号券が登場するまで、高額紙幣の代名詞でした。交替の時にも、十万円札が実現したら帰ってくると、よく言われていたものです。クイズ お金検定(井坂真紀子監修、主婦の友社)ではっきり書かれているように、お札には計7回登場して、これが最多記録となっています。
ですが、最近、そうでない主張をするテレビ番組があったという情報があります。価格.comの、「ひるおび!」 2013年1月16日(水)放送内容によりますと、斎藤哲也のひるトクというコーナーで日銀が取りあげられて、「日本銀行の発行した紙幣を紹介。今まで53種類、肖像画で一番多いのは「その他」の7回。」というような内容の放送がされたとのことです。集計カテゴリのつくり方によっては、「その他」が7回ということもありうるとは思いますが、ちょっと考えにくいところです。また、それでも聖徳太子は1位タイのはずですから、名前を出さない番組進行は不自然です。単なる誤報であると思いたいところです。
ちなみに、仏教をあつく信仰した聖徳太子だけに、護法ならそれらしいのですが、誤報どころか虚報に巻きこまれたことがあります。興味のある方は、『日出処の天子』毎日新聞誤報(捏造)報道事件まとめ(仮)をご覧ください。