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問85 統合失調症と家族の感情表出

1、てんかん性脳症は、幼少時からのてんかん症状により脳機能の障害が進行する、予後不良の疾患です。なお、統合失調症とてんかんとには、躁うつ病を加えて古くから三大精神病とされてきたことのほか、てんかんにともなう精神病的な症状に対する統合失調症との誤診、統合失調症の治療への抗てんかん薬の補助的な併用、てんかんと統合失調症とは併存しないという珍説がきっかけとなった電気けいれん療法の着想など、さまざまなかたちでの関連はあります。

2、共感的羞恥は、他者が恥ずかしい行動をしたり、恥ずかしがったりしているのを見た側に起こる羞恥感情です。

3、実存的空虚は、自分が生きること、あることへのむなしさ、自己の存在の意味が感じられないことです。夜と霧(みすず書房)を著したFrankl, V.E.の用語です。

4が正解です。かつて、統合失調症や自閉症には、家族の育て方やかかわり方が原因で起こるという解釈がありましたが、今日では否定されています。一方で、統合失調症が改善、寛解へ向かい、退院して家に戻ったのに再発してしまうパターンにある要因をさぐる中で見いだされたのが、家族の感情表出(EE)です。家族教育によってこの再発因子をおさえることは、三次予防として有効です。