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問79 添い寝の害の議論と多重役割

1、Spitz, R.A.がホスピタリズムと呼んだのは、養護施設で栄養や衛生に不足がないのに現れ、高い死亡率にもつながっていた心身の諸問題です。養育者との適切な愛着が形成されにくいことが原因だとされました。

2、これは世界中で大変な数が出まわり、わが国でも第6版が、最新版 スポック博士の育児書(暮しの手帖社)として今も市販されています。当時のアメリカ文化を反映し、子どもは子ども、自分は自分でわけて過ごすよう求め、添い寝や抱きぐせの害を説くところが、多産少死のベビーブームの時代には好都合だった一方で、議論をよびました。ちなみに、読書家としても知られる成毛眞は、このムダな努力をやめなさい(三笠書房)で、「人類史上最悪の書だともいわれている」などとこき下ろしています。

3が正解です。かつて、多重役割をめぐっては、役割間で葛藤が起こる、エネルギーが不足するなどの否定的な見方が強調されてきましたが、近年は役割が多いほうが社会資源への結びつきが増やせたり、一方の場や経験がもう一方の支えになるポジティブ・スピルオーバーが起こったりすることも明らかにされています。

4、母子健康手帳には、どこの自治体のものであっても、めやすとしてわかりやすい発育曲線が載っています。厚生労働省による省令様式では、後ろのほうにならんでいます。