出題解説

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問78 ケースワークと集団的守秘義務

1が正解です。個人心理臨床の感覚での守秘義務とはイメージが異なりますが、医療や福祉、あるいは学校カウンセリングなどでは、集団的守秘義務のかたちがとられます。

2、このような消え方はしません。なお、カルテの法定保存期間は最後の診療から5年間とされますが、医師法24条2項にどこから起算して5年間とするかは書かれていないのに、そういう解釈になることの根拠は、興味がある方は調べてみてください。

3、あります。精神保健福祉士法40条も、理学療法士及び作業療法士法16条もそうです。

4、フィニアス・ゲージは実名です。線路工事をしていてゲージとはでき過ぎにも見えますし、An Odd Kind of Fame: Stories of Phineas Gage(M. Macmillan著、MIT Press)によれば、あの事例にはうたがわしいエピソードがかなりあるようですが、名前までは否定されていません。これは古い例だから、もう亡くなっているからという面もありますが、「秘密」でないことには法律上の守秘義務の問題はありませんし、業界内のルールでも、氏名の一律禁止というよりは、氏名に限らず対象者の同意があれば可能ではあるということになります。それでも、たとえば日本心理学会倫理規程第3版の2.1.5.17には、「たとえ直接の研究対象者が実名の公表を許可ないし要請した場合でも,関係者全体に与える影響を慎重に考慮して表現を工夫する。」ともあります。