出題解説

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問14 摂食障害の診断基準

摂食障害の定義は、DSM-5で訳語も含めて変更がありましたし、また、わが国では厚労省調査研究班による診断基準もありますので、気をつけて整理しましょう。後者の基準も出ている、難病情報センターのページを示しておきます。

 中枢性摂食異常症 - 難病情報センター

1、女性のほうが多いことは明らかですが、こんな甘いかたよりでないことも明らかで、男女で1:10とも1:20ともいわれます。

2、「神経性」とついていても、神経系の器質的な原因によるという意味ではありません。むしろ、研究班の神経性食欲不振症の定義では、原因と考えられる器質性疾患があると除外されます。なお、DSM-5での訳語は神経性やせ症に変更され、この表現のほうはICD-10で用いられているものです。

3が正解です。いわゆる拒食症に対しては、ICD-10は期待される体重の15%、研究班は標準体重の20%以上の減少を境目にし、思春期やせ症 小児診療に関わる人のためのガイドライン(文光堂)の学校検診用ガイドラインも標準体重の15%減にラインを引きますが、DSM-5は、重症度の特定にBMIを用いるようにしたものの、体重自体を直接の診断には使わないようになりました。また、過食症、大食症のほうも摂食障害ですが、こちらには数値基準はないですし、DSM-5で新設された過食性障害であれば、従来の非排出型に相当しますので、標準体重を超すことに違和感はないでしょう。

4、オルトレキシアは、近年注目されつつある障害ですが、DSM-5は摂食障害に示しませんでした。回避・制限性食物摂取症が近いかもしれませんが、オルトレキシアは明らかな信念に基づくことから区別されます。そもそも、DSM-5で、カタカナのみの名称はまずありません。例外はナルコレプシーで、ほかに、神経認知症候群の「その他の重要用語」に入ったアパシーと、かっこ内のみ日本語の「コロ(生殖器退縮恐怖)」があります。