カフェテリア実験は、さまざまな食物を自由に選んでとれる実験設定が、食堂のカフェテリア方式に似ることから、こう呼ばれます。Richiter, C.P.は、一連のカフェテリア実験を主導したほか、食や生体リズムの生理心理学的研究を数多く行いました。伝記として、Curt Richter: A Life In The Laboratory(J. Schulkin著、Johns Hopkins University Press)があります。
1、カフェインには覚醒作用があり、食欲の抑制にもつながりますが、カフェテリア実験とは無関係です。
2、これは逆です。カフェテリア実験は、食行動にもホメオスタシス性を認めることができることを示しました。4の解説で説明します。
3、カフェテリア実験は、基本的にラットを被験体として進められましたので、会話は考えにくいところです。なお、食事時間と食べる量との関係については、音楽心理学入門(星野悦子編、誠信書房)でも紹介しましたが、レストランで背景音楽のテンポを落とすと、食事時間が延びて、注文量が増えるという知見があります。もちろん、こちらはヒトでの研究です。
4が正解です。自由にとれる状態で、動物実験ですので栄養バランスの知識などないにもかかわらず、必要な栄養素各種が適切に足りるように選択される傾向がみられます。また、特定の栄養素のみを意図的に欠乏させた、特殊飢餓という状態においた後では、その不足をおぎなう方向へと、食物選択がかたよります。必要なバランスを充足する方向へ食行動が起こり、適切に調整されることには、食行動におけるホメオスタシス性が示されたと考えることができます。