生駒 忍

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こんがり肉味の菓子とおなら1発で飛んだ人生

きょう、ファミ通.comに、『モンスターハンター』モンスターの肉をイメージした“こんがり肉味”のスナックが登場という記事が出ました。

「本商品は、ゲームででおなじみの“こんがり肉”を、バリッと噛みしめるスナックで表現。」とのことですが、画像を見て見おぼえがあると思い、思い出しました。5年前に出た、2種類のスナック菓子から、アイデアを組みあわせたようです。ひとつは、MONSTER HUNTER 3 携帯食料スナック こんがり肉味です。モンハンのこんがり肉の味をイメージしたものです。そしてもうひとつは、今回の肉スナックと同じ東ハトによる、「マンモスの肉!?」です。GIGAZINEに5年前に出た記事、原始の旨味が詰まっているのか、味が濃厚な原始体験スナック「マンモスの肉!?」試食レビューを見ると、お菓子のかたち、袋のかたちはそっくりで、袋のデザインも、類似して見えます。

「2014年11月14日よりお菓子売り場に登場」、「発売日:2014年11月10日(月)予定」とあり、ややずれがあります。ずれの向きは逆ですが、雑誌の発行日のようなこともありますし、業界の慣習があるのでしょうか。

最後にある、「モンスターの肉をイメージしたスナック菓子であり、モンスターの肉は含まれておりません。」に、失笑してしまいました。マンモスでしたら、ことわっておく意味が、まだ理解できます。宇宙ゴーゴーというウェブサイトには、「マンモスの肉は犬のえさや、アラスカ州フェアバンクスのあるレストランでは名物メニューに」とあります。ですが、このモンスターは架空の存在ですし、あくまで「こんがり肉味」であって、直接にはモンスターの味と書いてもいません。メロンパンのうた(ゆっぴ)は、Amazon.co.jpでの評価が両極にわかれた歌ですが、あのくらいのユーモア感覚にはとどまらない人がいるのでしょうか。いつの時代の意味かはともかくとしても、「確信犯」でクレームをつけてくる「モンスター」へのそなえなのでしょうか。

もちろん、ユーモアのつもりでも、犯罪のような誤解をまねくのであれば、問題でしょう。J-CASTにきょう出た記事、アート引越センターで女性従業員を梱包、蹴るなどの暴力行為? ツイッターに複数の「犯行」写真がアップされネットが騒然!は、そのレベルの悪ふざけを取りあげました。舞台となった会社の広報は、「たとえ全てが冗談であっても、こうした誤解を招く行為はあってはならないということです。アルバイトの女性に対しては、二度とこんなことをしないよう厳重注意を致しました」と言ったそうです。厳重注意は事実だと思いますが、それだけでなく、この人は二度とできないように、そこでのお仕事もなくされてしまったのではという気もしますが、どうでしょうか。

それで思い出したのが、DMMニュースにきょう出た記事、加護亜依の復活は絶望的!?「夫に逮捕状ではテレビ無理」です。二度目の自殺騒動はあってほしくありませんが、「反社勢力の排除が芸能界でも声高に叫ばれている事情を考えると、残念ながら芸能活動はこれでもう終わり」、「籍を入れた夫ですから、大手メディアがこれから加護を使うことはまずありません」、お仕事はもう、なくなるようです。そういう記事なのに、冒頭にある画像がまだ、やれる(Girls Beat!!)なのが、とても皮肉です。モーニング娘。を卒業したときに、その後の10年がこんな展開になるとは、誰も思わなかったことでしょう。たった1本のたばこからなのにと思う人もいるとは思いますが、早くからうまく回ってきた人生ほど、つまずくともう軌道に戻れず、迷走しながら落ちていくものです。何のために(中村文昭著、サンマーク出版)にある、スーパーでのたった1発のおならから、大学生A君の明るい人生がくずれていったお話を思い出しました。

世界一ではなくなった韓国のキムチと奇形児

きょう、マイナビウーマンに、中国食材ってどうして危ないの?という記事が出ました。登録制サイトであるビューティ&ダイエットの、「女の子の悩み相談室」からの転載のようです。

「中国食材」といっても、豆板醤、ピータン、干しなまこといったような、中華料理ならではの食材の話題ではありません。例外は、ウーロン茶くらいでしょう。なお、キムチは、週プレNEWSの記事、中国キムチに追いやられ世界一の座を奪われた韓国キムチが辛酸をなめている!にもあるように、もう世界一の産地は韓国でも、北朝鮮でもありませんが、中華料理というイメージは、あまりないと思います。きのうの記事で触れた文化遅滞ではありませんが、イメージが変わっていくことも、なかなかなさそうです。

「数年前の冷凍餃子の問題や、今年に入ってからの大手ファーストフード店のお肉の問題など、中国食材の衛生管理問題は驚くような事件があるわよね。」と書き出されます。事件は事実ですが、わが国でも、似たようなことは起きています。昨年だけでも、群馬での冷凍食品マラチオン混入事件や、バーガーキングやピザハットなどの「バカッター」事件などがありました。それでも、FRIDAY 8月22・29日号(講談社)によれば、あの農薬混入犯は、もう「本当にやりすぎたと思っています。」と言って深く反省しているようですし、まだ日本のほうが、悪質性が低いとは言えそうです。そして、筆者は「明らかに中国食材は健康被害の大きい食材が多い」と断言するのですが、つまりは程度の問題にすぎないと返されたら、どう反論できるでしょうか。「日本は食品の衛生管理についての法律が早い時期に定められている」とはいっても、法律自体に犯罪行動を止めきれる力はありません。CODE インターネットの合法・違法・プライバシー(L. レッシグ著、翔泳社)を読みましょう。

そして、さまざまな事例が並べられて、「肢体が奇形した子ども」という、変形した表現まで使ってあおられます。ですが、輸入食材にたよる外食産業へのフォローが続き、「疲れているときや体調が悪いときは、身体の抵抗力も弱まっているから、特に食品の害を受けやすいわ。そういうときは、念のために中国食材は避けた方がいいかもしれないわね。」と、まるでもう死ぬかのような不安から、そこまでの心配はいらないような余裕へと、トーンダウンしてみせます。ふと、VOW王国 ニッポンの誤植(宝島社)の151ページを思い出しました。

変わり種の天ぷらと鼎泰豐の小龍包の濃厚さ

きょう、いまトピに、もみじだけじゃない!天ぷらにすると美味しい意外すぎるあれこれという記事が出ました。

もみじの葉に衣をつけて揚げたものが、海外で話題になったことを受けて、ツイッターに出た変わり種の天ぷらの画像を集めたものです。タイトルを見て、宮島の揚げもみじかと思いましたが、ほんものの葉のほうです。揚げもみじであれば、少なくともアメリカの大衆文化にとっては、そこまでのおどろきはなさそうです。ロケットニュース24に3年前に出た記事、ビスケットのオレオを揚げて食べてみた / 冗談ぬきで恐ろしいほどウマイ!のような世界とは、地続きのように思えます。

さて、この記事は、たとえばzakzakの同名記事など、いまトピのほかのあちこちのサイトに、もちろん了解の上で、掲載されています。ですが、こちらのオリジナルとは、やや文面が異なります。基本的には、大量の画像の掲載がされない環境で、読みやすく、あるいは最低限、つじつまがあうように、意識して手が入っていて、親切だと思います。ですが、冒頭の「こんにちは。」の後の改行がなくなるところから始まって、その目的とは関係のなさそうな変更もあります。天ぷらの列挙のところを見ると、アカシアの花、ねぎ坊主、アボカド、ミニトマト、りんごで、不一致があり、後ろの3種には加筆があって、イメージをしやすくする意図だと思われます。アカシアの花は、「アカシアの花は」をとって、くり返しをさけました。気になったのはねぎ坊主で、「葱のうまみがぎゅっと詰まった濃厚な味。あのアラビアンな形状のかわいらしい部分…」と、前に書きたされました。前段は、見た目からのイメージではなく、味そのものが断定的に書かれて、ほかとは異なる味つけです。しかも、干しいもには、「フツウのさつまいもの天ぷらより、味が濃厚で美味しいのだとか。」とあって、距離をとった表現ですが、比較基準も明確ですし、濃厚なのだろうと想像しやすいのですが、ねぎ坊主は、そこまでではありません。ですので、筆者はすでにためして、確認してある可能性が濃厚でしょう。ですが、いまトピの外に出すほうにだけ、これを書きたしたねらいは、よくわかりません。

また、天ぷらに濃厚な味というのは、もう若くないからかもしれませんが、私には少し、違和感があります。ふつうの揚げものですし、実際には油をたくさん含んでいるのは知っていますが、あっさり、さっぱりした食べものというイメージが強いのです。江戸の食文化の感覚としても、天ぷらが濃厚、濃い味では、違う気がします。粋の文化もありますが、初がつおがあれほどまでに競って求められ、とろはせいぜいねぎま鍋、今日のような珍重とは無縁で、そばつゆは先を少しつけるだけ、そういう感性です。濃い味でおいしいものも多いですし、あれこれを取りすぎてしまうくらいに味の強いものが好まれやすいことには、進化的な理由もあるのですが、それぞれの食文化の伝統の味も、大切にしたいものです。そういえば、紗倉まなの工場萌え日記にきょう出た記事、バリからの秋葉原。は、「バリの食べ物は日本人の舌に合う味付け」としながらも、「どれもばくばくと食が進んでしまうのは、多少濃く味付けされているからでしょうか、、、。」と指摘しました。

濃厚で思い出しましたが、マイナビウーマンに今日出た記事、週末旅行にぴったり! 絶対にうまい台湾グルメ5選!は、鼎泰豐の小龍包を、「濃厚」を3回も使って紹介していました。私は、池袋店の味しか知らないのですが、ここまで書かれると、本場の濃さには、少し気おくれしてしまいそうです。一方で、あっさりした料理の紹介もあります。京星港式飲茶のおかゆで、私はむしろ、こちらに興味をひかれましたので、やはり若くないのかもしれません。ここで気になったのは、そこにつく揚げもの、油条の説明です。「中国の揚げパンのようなもの」とあって、言いたいことはわかるのですが、やや落ちつかない表現であるように思います。「中国の揚げパン」、あるいは「揚げパンのようなもの」とすればすっきりするのですが、どちらも落としたくなくて、こうなったのでしょう。似たものに、基礎英語3 2014年6月号(NHK出版)の、「トルティーヤ(一種のメキシコのパンケーキ)」があります。

原宿ドッグの名前の由来と堺市の「変な給食」

きょう、東京バーゲンマニアに、どうして「原宿ドッグ」って名前なの? 「ベルギーからの刺客」が運命を変えたという記事が出ました。

「「原宿」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか? 記者(20代)は、なんと言っても「原宿ドッグ」。」、私には共感できない書き出しですが、あの名前の由来は、私もずっと気になっていました。筆者がどこから調べたかというと、「特許庁のデータベースによると、「原宿ドッグ」はニチレイフーズの登録商標。」、これは盲点でした。もちろん、あまりにあたりまえなやり方なのですが、まさかと思い特許電子図書館商標検索を確認してみると、登録番号は第5225921号で、5年半ほど前からの登録だとわかりました。後に出てくるように、そのニチレイが発売したのは1987年でしたが、調べが早いと、ここから足がつくという順当なルートはたどれなかったわけです。

「ニチレイフーズの広報に聞いてみることに」、すると「若者に人気があり、流行最先端の街である原宿のイメージ」から原宿なのだとわかり、「原宿発祥だから、ということではなさそうです。」とされます。変な給食(幕内秀夫著、ブックマン社)は、近畿地方の学校給食に出された原宿ドッグを、「賑わう竹下通りを、有名店のクレープや原宿ドッグを片手に歩いていたら、憧れのアイドルと遭遇なんかしたりして、キャーッ!! などという妄想を楽しめばいいのでしょうか?」といじりましたが、意外によい線だったようです。ふと、4年半前にあった、原宿竹下通りが見たこと無いような大混雑! 異常に人が集まりすぎて将棋倒しかの騒動を思い出しました。よくも悪くも、Twitterの力が見えた事件でした。トピックニュースにきょう出た記事、温泉旅館による宿泊客への反撃がネットで話題に 「サービス云々の前に会計はして下さい!」のように、どこかでルートに乗りはじめると、とにかく速いのです。

さて、この記事は、一般人が原宿ドッグを入手するのはかんたんではなさそうな雰囲気を出していますが、通信販売でかんたんに買えます。ニチレイ 原宿ドックミニ、40本入りです。『月刊ケアマネジメント』の校正の記事で触れた「パット」のように、「ドック」になっています。

最後は、「チーズワッフル片手にコーヒーを飲む」シーンで締めくくられます。この組みあわせは、私にはぴんときません。14歳の周波数(吉川トリコ作、実業之日本社)で鮎子が、アネゴから肉まんとミルクティーとをわたされるシーンを思い出しました。

ふぐを最初に食べた人の発想と「トンスタン」

きょう、マイナビウーマンに、最初に食べようと思った人の勇気を称えたい世界の珍味1位「フグ(日本)」という記事が出ました。

「最初に食べようと思った人の勇気を称えたい世界の珍味」をたずねたのに、ふぐがダブルスコアどころでない1位なのは、私には違和感があります。特別にグロテスクな外見であったり、不衛生なものと強く関連していたりする食べものではないはずです。誰も食べたことがない時点ですでに、食べると死ぬおそれがあると知られていたとは、考えにくいです。ですので、「最初に食べようと思った人」は、変わった魚だけど食べてみようというくらいの発想で、「クリエイティブ職」の人が言う「死の危険をおかしても食べるなんて、すごい勇気」というほどのことはなかったように、私には感じられます。自分が知っていることと、ほかの人が知っていることとが別々だということが、年齢が上がってもうまく理解できない人がいることは知っていますが、こんなに多いわけはありません。ふぐという魚は知られていて、なのにまだ誰も食べたことがない時代に、たとえば浜辺に打ちあげられたふぐを、犬が危険部位をふくめて食べて、しばらくして呼吸困難を起こして死ぬようなことがあって、だから人も死ぬと広く類推されていたというイメージがあるのでしょうか。

2位がバロットというのも、かなりおどろきました。バロットを知っていて、珍味といわれて頭にうかぶ人が、少なくとも2割近くはいなければ、この結果は出せません。ですが、「昨日、TVで見て吐きそうになった」、これで理由が見えました。ひょっとすると、その放送のタイミングをねらった、記事にインパクトのある1位を打つシナリオでのアンケートだったのかもしれません。そういえば、BLOGOSにきょう出た記事、慰安婦問題はフェミニズムで脱線したには、松井やよりが「問題の火付け役になった1992年のアジア連帯会議を福島みずほ氏とともに主催し、「元慰安婦に(シナリオ通りに)言わせるのは大変なのよね」といい、インドに住むタイ人女性が「インドに来た英国兵はもっと悪いことをした」というと「黙りなさい。余計なことをいうな!」とどなりつけた」お話がありました。

3位、「読み方は「トンスタン」です。」でよいでしょうか。私ならこうは書かないように思いますが、マクルーハンの表記の記事でも書いたように、カタカナのあてはめに正解はないともいえます。もちろん、最近ではベストカー 9月10日号(講談社)で、「サイゼリア」と2回続けて出てくるのは、どちらも誤りであるといえるように、はじめからカタカナの名前には、正解があります。

珍味は、値段の問題もふくめて、食べるために勇気を要するところを、本質にもつのかもしれません。「逆考」のすすめ ありきたりな人生から脱け出そう(山﨑武也著、PHP研究所)には、「実際には、安い食材で珍味よりおいしいものは沢山ある。たとえば、玉ねぎだ。」とあります。