生駒 忍

記事一覧

だしのタイミングと「注文の多い料理店」

きょう、エキサイトニュースに、家での料理も本格的に!東西の乾物屋に美味しい料理のコツを聞いてきたという記事が出ました。

東西のうち、まずは西のシマヤの取材からです。「ではどの味を、どのタイミングで使えばいいいのか。」という問いに、すぐ続く答えは、答えになっていません。タイミングを待つイメージをつくるねらいかもしれませんが、単に「地域性のあるラインナップが自慢」であることの話題を続けたかったのかもしれません。また、質問文に「い」が多いのも気になりましたが、次に「にんべん」が出てくることを示唆したかったのでしょうか。

一方、関東のほうでは、「そんなかつお節を使ったすすめの料理はお味噌汁やお吸い物。」とあります。料理を「お料理」と書くべきかどうかより以前のところで、「お」が落ちているように感じますが、鶏料理の写真が続くこととあわせて、「おとり」を連想させます。そういえば、注文の多い料理店(宮沢賢治作、オリオンブックス)は、西洋料理店の看板につられて、「どうか帽子と外とうと靴をおとり下さい」などとされていくお話でした。

ビーフストロガノフへの挑戦とパエリアの写真

きょう、マイナビウーマンに、「料理のレベル高えー!」と思う彼女の手料理4選という記事が出ました。

タイトルには「4選」とありますが、登場順に、ビーフストロガノフ、パエリア、煮物、そして「その他」です。前2者にくらべて「煮物」が広いのも気になりますが、「その他」の内容にある、「魚をさばいての料理。」も広く、次の「マツタケの土瓶蒸し。」との対比がおもしろいところです。

筆頭はビーフストロガノフで、「レベル高そうだから」「普段食べる機会がないから」などとあります。ホーホケキョ となりの山田くん(高畑勲監督)での、寿司ではおもしろくないと、これに挑戦する展開も、そういうイメージを背景にしたのでしょう。

続いて、「ムール貝がたくさん乗っているスペイン料理の「パエリア」も人気でした。」とあります。写真はパエリアのようですが、ムール貝が見あたらないものを使ってあります。

3番目の煮物では、3件のコメントのうち、最初と最後とがそっくりです。煮物だけに、にるという意味でしょうか。

最後の「その他」の最後は、手打ちそばです。「手打ちそばは本格的すぎて、よっぽどの料理好きかそば好きでないと難しそうですよね。」とあり、本格としながらも、料理一般からははなれるような位置づけで、「そば」という名前とのずれをたのしむところでしょうか。

エスニック系PBカレーと水谷ドタキャン問題

きょう、東洋経済ONLINEに、無印の対抗馬?レトルトカレーに意外な伏兵という記事が出ました。

内容は、「「みなさまのお墨付き」(以下、お墨付き)が展開する、エスニック系に特化したレトルトカレー」の紹介です。6種類出ているうち、スープカレーはエスニック的ではありますが、日本発と考えるのが自然であるように思います。それでも、食べものの起源を決めるのは、むずかしいものです。「中でもお勧めなのは、やはり人気首位の「マッサマン」。」「マッサマン」というタイ発祥のカレーだ。」とありますが、きょう食べたタイカレー マッサマン(ヤマモリ)には、「イスラム圏から伝来したとされる、「ムスリム(イスラムの)」という意味を持つカレー。」とありました。

「好評につき2015年2月には、「マッサマン」「チャナマサラ」も投入。」「以後、同社のレトルトカレーの売り上げは、前年と比べ10%増えたそうだ。」、種類が5割増で、しかもマッサマンが人気のトップなら、10%しか増えないのは奇妙にも見えますが、既存のものが相当に食われたのでしょう。

「西友は、なぜエスニック系カレーをここまで本格展開しようと考えたのだろうか。」、とても興味があるのですが、企業秘密なのか、あいまいな答えしかありません。「エスニック系に特化したほうが面白い! という話になった」、その根拠や過程が知りたかったところです。ふと、中央線とdancyu(プレジデント社)で本石亭の店主が、「だって、ほかのカレー専門店と真っ向勝負しても面白くないでしょう。」と言っていたのを思い出しました。

「確かに、どの家庭もカレーを作るときは、家族全員が食べられるスタンダードなカレーだろう。小さな子どもがいれば必然的に甘口カレーとなりエスニック系などは論外だ。」、当然だと思った人が大半でしょう。では、タイで、インドで、小さな子どものいる家庭ではどんなカレーをつくるのか、当然の疑問がうかんだ人は、どのくらいいますでしょうか。

「1回で無駄なく食べきれるスパイシーなレトルトカレーは、ひとりランチにこっそり刺激物を摂取するのに最適な商品」とされます。「こっそり刺激物を摂取」という後ろめたい表現は気になりますが、合理的な商品だと思います。カレーは時間がかかるイメージがありますが、レトルトならふと食べたいと思ったときに食べられますし、種類があればその場の気持ちで選択できます。湯せんで温めはじめてから気が変わっても、やめて別の機会に回すこともできそうです。ただし、私はしたことがありませんし、たとえば丸美屋 おうちde旅ごはん ガパオ風ライスの素には「※未開封であればもう1度温め直しても召し上がれます。」とありますが、カレー類では見かけない表示ですので、禁忌なのかもしれません。それでも、その場そのときで食べたいものへ自由に切りかえるのは、現代ならではのぜいたくでしょう。

それが過ぎてしまった結果が、「鮨 水谷」の人種差別騒動かもしれません。日刊ゲンダイでの指弾は、水谷に縁がない層にまで大きな反響をよびましたが、すぐぼろが出ました。netgeekにきのう出た記事、【炎上】日刊ゲンダイに「外国人を差別した」と大バッシングされているミシュラン2つ星寿司屋「水谷」の真実からは、本質は「一見の中国人富裕層客」のドタキャン行動にあることがうかがえます。何故一部の外国人がドタキャンするかについてですが、彼らは複数の店舗、例えば寿司、天ぷら、鉄板焼きなどを同日に予約した上でもご覧ください。こちらは、国籍や民族を指定してはいません。東洋経済ONLINEにきょう出た記事、フランス女性はなぜ仕事を続けられるのかについたコメントにも、「アジアリゾートにバカンスに来たフランス人の評判の悪さは有名で、予約をしても連絡なしで来ないし、接客する側のミスや天候などでの期待したサービスの低下をいちいちメモしてディスカウントを要求してくるそうです。」とあります。アジアに観光に出た際ならドタキャン当然が、グローバルスタンダードなのでしょうか。莫邦富に聞いてみたいところです。

「津ねや」の2匹のハタハタと韓国の瞬発力

きょう、ロケットニュース24に、【究極のきりたんぽ鍋】ボリュームたっぷりの絶品郷土料理を堪能!「津ねや」は秋田に行ったら絶対寄るべき名店という記事が出ました。

肉うどんの玉ぬきの記事などでも取りあげてきましたが、あのサイトの飲食店記事は、とにかくほめるのが常です。今回も、全力でいきます。「記者(私)は今まできりたんぽが美味しいものだというイメージが無かったのだが、ここのきりたんぽ鍋を食べてから、それは間違いだということに気付かされた。」と、いままでのこととしてはよくないことが書かれますが、「積み上げたものぶっ壊して」ほめることに使います。

気づいている人も多いと思いますが、スキマスイッチつながりです。本文は、そんな名前を入れるすきまもないほど、ほめことばで埋まっていましたが、最後につくキーワードが、「グルメ, 国内 (きりたんぽ鍋 • じゅんさい • はたはた • スキマスイッチ • 秋田県 • 郷土料理 • 津ねや)」です。「ラストに提供されたのは2尾のはたはた焼き。」と、数をはっきり書いて、写真でもきちんと2匹とわかります。「量についても、成人男性が少し残してしまうぐらいボリューム満点。」と断言し、わかって書いたものであることが明らかです。おとなのデジタルTVナビ 2014年1月号(日本工業新聞社)で黒田勝弘は、韓国の一瀉千里、瞬発力を評価しましたが、日本も負けてはいられません。「なかなか秋田へ旅行する機会は無い」と言いつつも、このタイミングで記事にする瞬発力、全力でうごく少年のようなところには、頭が下がります。以前に、「いつかはゆかし」の話題のタイミングの記事を書きましたが、こういうものでしたら、単純に早いほうがよいのです。

高収入ほど好むおにぎりと「メザシの土光」

きょう、BizLadyに、えっそんな素朴なの!? 「高収入な人の95%が好む」意外な食べ物とはという記事が出ました。

「いやいや、実は、世帯年収が高くなればなるほど、“ある食べ物”への好感度が高まることが調査で判明したそうだ。」とありますが、これは昨年10月に話題になったものです。たとえば、マイナビニュースは、年収が高くなるほど、「おにぎり」への好意度が高まる傾向が判明 - 浜乙女と、より情報が多い"お金持ち"はおにぎりが好き!? - 「おにぎり」に関する調査結果を発表として伝えました。ですので、こちらは同じ調査を、「フードアナリストの筆者がお伝え」するところに、価値があると考えるべきでしょう。ふと、週刊朝日 10月31日号(朝日新聞出版)に登場する、「うまい先生の授業を聞くと、同じ定理でもこうも印象が違うものかと驚いた」お話を思い出しました。

「なんと世帯年収1,500万円以上では、95.7%の方が「とても好き」と回答しているという驚きの結果に!」、これがタイトルの、「高収入な人の95%が好む」に対応するようです。「とても好き」を「好む」に、「世帯年収1,500万円以上」を「高収入な人」に言いかえたのは、語感はずれますが、文字数をおさえたかったのだと思います。四捨五入ではなく切りすてで95%としたのは、きりのよい数字に見せたかったのでしょう。

「そこで同調査では、「家庭で作ったおにぎり」と「お店で買うおにぎり」のどちらを食べることが多いかを質問したところ、1,000~1,500万円の層を除き、世帯年収が高いほど“手作りのおにぎり”を食べる割合が高い実態が明らかに。」とあります。「1,000~1,500万円の層を除き、」を除けば、年収と食べる割合との相関関係だと、かんたんに理解できるのですが、この例外が入ると、読みにくくなります。階層ごとに別々に相関を出したのだと誤解する人も出そうです。

「高収入世帯が“おにぎり”を好むという意外な実態」、意外にそういうものかもしれません。ぎらぎらと目だつ、品のない成金のイメージで見てはいけないのでしょう。最近ではたとえば、孫正義の参謀 ソフトバンク社長室長3000日(嶋聡著、東洋経済新報社)でも評価された、「メザシの土光」のエピソードは有名です。また、昨年7月31日付の日本経済新聞朝刊の「私の履歴書」では、ラタン・タタが、「自分で運転するのはホンダのシビック。その方が目立たなくて都合がいいのだ。」と述べています。