生駒 忍

記事一覧

賞金が10万円よりも低い賞と学習性無力感

きょう、OKWaveに、小さい賞はどこで参加出来るのでしょうかという質問記事が出ました。

小さいところから参加したいのに、「公募サイトを見ても賞金が10万円くらいだったり、ただ展示が出来るというものだったりするものばかり」であることが不満なようです。「賞金がもっと小さい所に出ようと思っていたのですが、これくらいが業界の最低値なのでしょうか?」とたずねます。ですが、「ただ展示が出来る」よりも金額が低いことはありえませんので、その中間、10万円よりもさらに少額でも、賞金はあるところがほしいのでしょう。

そこまでして下のぎりぎりをねらわなくてもいいと思う人も多いと思いますが、まずは小さくても報酬になる経験を積んで、そこから自信をそだてていきたいのでしょうか。教職課程 2014年4月号(協同出版)で心理学者の村上達也がとなえた、「努力に対しては必ず何らかの結果を!」を思い出しました。すると、大きなところへの挑戦ならまだしも、小さなところで賞にもれ続ければ、むしろすぐ学習性無力感になってしまいそうな不安もあります。1か月前、7月17日付の福島民友に登場した、石田葵という人のような思いで、ずっといられますでしょうか。ですが、芽が出なければ出ないで、早く気づいてやめることも、人生のためです。減速思考 デジタル時代を賢く生き抜く知恵(R. ワトソン著、徳間書店)も説くように、失敗をいかして、次は別のことをすればよいのです。

とうふの自由研究とSTAP小保方を信じる心

きょう、OKWaveに、自由研究という質問記事が出ました。

夏休みの自由研究のために、早めに行動していることに感心する人、もう質問サイトだのみとは早すぎるとあきれる人、それぞれだろうと思います。私が気になったのは、「研究」のとらえ方です。客観的な世界に属する原理を明らかにするというよりは、自分はみごとにやってみせたという、自分の能力に帰属されるものを行うのが研究というイメージなのでしょうか。基本は見えているものを自分でやってみせて腕前を披露するという、中学生ならある意味で身近な「研究」である、研究授業に似た発想ともいえそうです。

そういう研究観を想定すると、STAP細胞騒動で、世界中どこでも再現されないのに、200回成功したと主張する人を今でも平気で信じていられる人の感覚も、やや理解できる気がします。おやすみラフマニノフ(中山七里作、宝島社)で、わかれた息子の前で柘植は、「わしには才能を愛することはできても、その持ち主を愛することはできん。」と告げましたが、あの愛される才能、腕前は並ではありません。身近に心理学者がいたら、研究したくなるかもしれません。

分散分析でのLevene検定の解釈と表記法

きょう、OKWaveに、リーベン検定という質問記事が出ました。

このカタカナ表記にはなじみのない人もいると思いますが、Levene検定のことだと思います。以前に、分散の加法性の記事を書きましたが、こちらは分散の等質性の話題です。一般には、「ルビーン」と書くことが多いようです。ドイツ風に見える「レーベン」も見かけます。

経験的には、「統計学は初心者なので、分かりやすく説明していただけると助かります。」と求める人に統計のお話を理解してもらうには、統計の知識よりも、表現力や忍耐力が問われることが多いように思いますので、私は直接回答するつもりはありません。分散分析を行うために、まずはLevene検定をかけてそれから考えるという手順からは、それほどの初心者ではなさそうな気もしますが、よくわかりません。

Levene検定は、SPSSで平均値の検定をするときに、合わせて得られるイメージの強い技法でしょう。ですが、テキスト等を見ると、SPSSでのt検定に対しては、検定結果の読み方とその後の対処について、はっきりと書いてあることが多いのですが、分散分析には、もちろん現実的な理由は理解できるのですが、あまり書かれないようです。私も授業で使っている、SPSSに特化したテキストであるSPSSのススメ〈1〉 2要因の分散分析をすべてカバー 増補改訂(竹原卓真著、北大路書房)は、7章2節で対応のないt検定をあつかいますが、Levene検定が有意かどうかでの分かれ道を、両方とも明確に説明します。傍注の★9の書き方には不満がありますが、本文はこれでよいと思います。なお、私としては、そこも含めて、表記の不統一や誤解をまねきかねないところなどが散見されて気にはなりますが、本質的にはよくととのって親切なテキストだと思っています。11章3節の難易度の突出は、やむを得ないところだと考えます。

さて、同じくSPSSのススメ〈1〉 増補改訂で、分散分析の場合はというと、8章2節で初登場となる際に、傍注の★10で、「また,データの等分散性に自信がないときには,[等分散性の検定]にもチェックを入れておくことをお勧めします。」と、「自信」しだいでのオプションというあつかいです。Brown-ForsytheやWelchの選択ルールはまったく説明がありませんし、オプションあつかいですので出力例も読み方も、その後に登場することはありません。ちなみに、球面性の検定が有意だった場合についても、9章1節は、「続く[被験者内効果の検定]では[Greenhouse-Geisser],[Huynh-Feldt],[下限]などを参照」として、選び方には言及がありませんし、そこを平易に述べるのはむずかしいので割りきったのだとしても、さらに選択肢が加わることを示唆する「など」も困惑をまねくでしょう。

ところで、冒頭で、Leveneのカタカナ表記に触れましたが、読みにくく見えるHuynh-Feldtの前のほうについて、SPSSのススメ〈1〉 増補改訂は、「ベトナム人のために読み方が難しいですが,知り合いのアメリカ人研究者がそう発音していたので間違いない」という読みを明示します。反論はありますでしょうか。なお、Brown-ForsytheやTamhaneのカタカナ表記は、見あたりません。

障害基礎年金をもらうとうらまれるという情報

きょう、Yahoo!知恵袋に、障害基礎年金をもらってると人から恨まれると聞いたのですが、 実際そうなのでし...という記事が出ました。

誰から聞いたのでしょうか。一家に3人も受給者がいるのはめずらしいと思いますが、それでも実際そうなのかと質問してくるほどですから、まずありえないことだと思います。もちろん私も、聞いたことがありません。ねたまれる、あるいはうらやまれるというならば、まだ理解できますが、うらみではつじつまがあいません。安直ですが、デジタル大辞泉を引くと、「他からの仕打ちを不満に思って憤り憎む気持ち。」とあります。日本の年金に関心のある、日本語に不慣れな人が言っていたのかもしれません。

そういえば、グッド・ヴィジョン(佐藤富雄著、ゴマブックス)は、「絶対に他人の成功や富をうらやんではなりません。あなたの心が思ったことは、かならずあなたの内部に何かをもたらします。」と断言しています。そして、その根拠に、フェリー沈没事故への発言の記事でも触れた、「脳は主語を理解できない」説が登場します。

ためになるDSゲームとのび太へのプレゼント

きょう、OKWaveに、為になるゲームはなんですか?という質問記事が出ました。

同じ人が15分ほど前に立てた女性の扱いがうまい人、慣れている人とはどんな人?とは異なり、こちらはまだ、まったく回答をもらえていません。私としては、以前に論文で触れたこともあり、SIMPLE DSシリーズVol.19 やればできる! THE マイクロステップ技術で覚える英単語(D3 PUBLISHER)を紹介できたらとも思うのですが、「体験を含めて」と言われても、監修者とこれのお話をした体験を書くわけにはいきません。また、このソフトはためになることに重点があり、そのぶんゲーム性は二の次のようで、この質問者が期待するバランスからはずれるかもしれません。ここは、興味や立場によるでしょう。てんとう虫コミックスでの終刊となったドラえもん 45(藤子・F・不二雄作、小学館)の「タイムワープリール」で、毎度のためになるプレゼントにのび太ががっかりする展開を思い出しました。