家族療法や認知行動療法ではしばしば、問題の進行や維持に対して、このような円環状のモデルを考えます。すると、円環のどこであっても、介入してループをくずせば効果が上がるという予測がたちます。Clark, D.M.によるパニック発作のモデルも、かつては治療しにくかったパニック症に奏効する認知行動療法の発展につながりました。なお、うつ病の認知療法の開発者であるBeck, A.T.とともに、不安障害の認知療法 科学的知見と実践的介入(明石書店)や不安に悩まないためのワークブック 認知行動療法による解決法(金剛出版)などを著したClark, D.A.や、わが国の精神医療の後進性の批判で知られる「クラーク勧告」のClark, D.H.とは別人ですので、気をつけてください。
1、外傷記憶の侵入的想起の反復などにループ状の過程を仮定することはありますが、このモデルとは無関係です。
2、気分循環性障害は、双極性障害ほどではない、軽いうつと軽い躁とを行き来する症状を示します。ここでいう循環は、うつと躁とで回りつづけるという意味で、問9解説で取りあげた循環気質の循環と同じ意味です。
3、不合理と知っていての儀式行為の反復などにループ状の過程を仮定することはありますが、このモデルとは無関係です。
4が正解です。なお、パニック症という表現は、DSM-5にともない、これまでのパニック障害に対して使われるものとして登場しました。